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 某紙記者の「奇跡の詩人」&NHKへの感想(5/30)
本放送は仕事があって観ていなかった。
あの夜遅く家に帰り、ルーティーンとして2ちゃんを見て、奇跡の詩人に関するスレを見つけた。
正直、目を疑った。
2ちゃんねらーとNHK、どちらの感覚が正しいのか、この目で番組を見ないと信じられないのだがどんどん増え続けるレスを読むにつれ、暗い気分になっていった。
連休が明けて平日になり、朝一番、同僚たちの間で話題になっていたのがやはりこの番組。
絶対にインチキだ、と断言して止まない記者もいる。
『何はともあれ、現物見なきゃな』と、さっそく、あるルートで番組のビデオを手に入れ、皆で見た。
少なくとも、ビデオを見た同僚記者で、『いやぁ感動しました』と言う者はいなかった。
大体において、あの番組を見て、かつ、あの少年が書いたという本を読んで、素直に感動するようなら、記者を辞めた方がいいと断言する。
もしくは、大事な大事な、常識という名のアンテナが、ぶっこわれている。

ちなみに漏れは10年以上、口座振替をしていたのだが、直ちに電話でもう支払わない旨、地元のNHKに通告し、手続きをした次第。
それほどまでに、こみ上げた怒りはすさまじかった。
『映像の世紀』を作った放送局なら、映像の持つ恐るべき威力を十分に理解しているはずなのに。

さっそくチームで取材にかかり、私も末席ながらその一員に加わった。
NHKってところは、役所と同じぐらい官僚的な対応が持ち味で、取材をかけてもいつもそっけない応対なのだが、なぜだかこの件については、ものすごいぴりぴりしていると同時に、寄せられた質問には答える、という姿勢が印象的だった。
もちろんその回答が、こちらの納得のいくものかどうかは、また別でしたけどね。
担当者が、懸命になって同じ内容を繰り返しつつ、『番組では十分、真意が伝わると思ったんですがね』と、汗で顔をびっしょり濡らし て暗い顔で語る姿には『あ〜この人、胃に穴が開いちゃうんじゃないかな。本当の事、言えればどんなに楽になることだろうか』と思わざるを得なかった。

NHKや日木家が、一切、取材に応じないor同じ見解を繰り返す状況で、今現在は、事態が進展していないのは確か。
私自身にとっても、この事件は非常に重要なのだけれど、ほかにもうんざりするぐらい仕事を抱えていて、この事件にかかりっきりになれない悔しさがある。
いろいろ追及されるべき点はあるのだが、私自身としては『科学的な実証・検証精神でもって作られるべきドキュメンタリー番組なのに、全くそれを失った状態で、ドキュメンタリーとして放送したNHKの姿勢』を、一番先に質したい。
ついではあの母親。
収益をあげる手段として確信犯的に、障碍を持った子供を利用していると私は勝手な推測をあの母親に向けているのだが、人間としてあの母親の道義的責任を問いたいな、と。

NHKは『プロジェクトX』で、民放に負けず視聴率を取れる秘訣をつかんだ。
不屈の闘志、感動モノといった、ある意味、直球勝負。
Nスペは、『奇跡の詩人』だなんて、いかにも安っぽいタイトルが似合う番組枠では、なかったろうに。
視聴率をうんぬんすることは、必ずしも悪いとは思わないが、NHKには、視聴率主義に毒されていないでもらいたかった。

しかしなによりも、今回のことで、一番驚異的だったのは、NHK板の有志のみなさんが次から次へと疑問点を挙げ、整理し、またそれに対応する事象を探し出してウプするまさしくジャーナリスティックな行為。感服し、かつ、素で『こりゃすげぇや』と舌を巻いています。
正直、何度も参考にさせてもらいましたよ、ええ。
そして検証会を企画され、実施に動いている、赤鼻さんや、全国の大勢のみなさんたちに心から敬意の気持ちを覚えます。
社会を動かす力って、マスコミだけじゃない。根底は一人一人の人間の、意志なんですよね、普段忘れがちなことを、改めて実感しています。

同じマスコミで働いているという矮小な理由ではなく、小さい頃からNHK特集、そして今のNHKスペシャルが好きで、ずっと日本の放送界の良心と思っていただけに、裏切られた気持ちでいっぱい。
その悲しさ、悔しさ、むなしさが、私同様、NHK板のみなさんを突き動かしているのだと思われ。
そういった、純粋な気持ちは、強い。まさに鋼の意志。
このまま時の流れに任せ、世間が忘れるのを待っているであろうNHKに、私は勝ち目は無い、と考えている。


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