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拝啓
NHKスペシャル『奇跡の詩人』、制作担当責任者様 突然で失礼します。私は札幌在住の医師です。 先日、貴社NHKスペシャル『奇跡の詩人』を、ビデオで鑑賞させていただきました。そう、あの「違法」上映会のひとつでです。 その結果、実にさまざまな感想をもちましたので、制作担当責任者である貴殿に質問させていただきたく思います。これらに対して回答されるかどうかは自由ですが、もちろんこちらとしては、責任ある回答を希望しています。 ● まず番組には多数の詩が登場します。あの放映では作者は日木流奈であるように放映されていますが、彼が作ったという根拠をお示しいただきたい。 著作権は誰にあるのか? 著作権料は誰に対して払われているのか?番組には講談社の人物が登場し、放映していることから、そこまでNHKはご存知だと思われますので、まずその点を明らかにしていただきたい。 ● 番組を見て誰もが思う疑問が、母親の発声とタイプのタイミングがまったくシンクロしていないという事実です、これでは母親が自分の心情を書いていると言われても、しょうがないと思います。 彼の指差しはどの指で行うと決められているのですか?番組を見る限り私たちは中指ではないかと思いましたが、その他の指の可能性はいかがでしょうか? ● 彼のタイプではあまりに指す場所が漠然としている印象を受けました。どこの文字をさしているかまったくわからないのです、見ている限り。なぜ母親は、それがわかるのでしょうか? ● 彼の手根部、前腕、上腕にもですが、明らかなrigidity(固縮ですかね)が見られます。軽いathetose(独語ですね、不随意運動です)も見られます。どちらも脳の深い障害を示唆するものですが、このように脳に重大な障害を持ったまま、知的創作活動に従事することは可能なのでしょうか?貴殿の意見をお聞かせ願います。 ● 映像からは下半身の固縮はよくわかりませんでしたが、おそらくこちらにも固縮は存在すると思われます。これらを総合するに、彼の脳は全体的に機能を果していないと考えられますが、それについて貴殿はどうお考えですか? ● 幼児の場合運動能力が障害されているのなら知的能力にも障害があると考えるのは小児科的思考ではまったくの当然であると思います。幼児において運動障害と知的障害は一致しないことがあるという証明をお願いします。 ● 母親の指差し文字を読む速度は異常に速いです。我々が検証しても秒速3語以上です。これはまったく信じられません。 貴社は、神経の伝導速度は秒速200mだからそれは理解できる、みたいなことを言っていたようですが、それは一部事実ではありますが、シナプスを介さない場合という条件が付きます。彼が筋肉を収縮させ、ある場所を示し、母親がその位置を理解し、その語を発声する、その間にどれくらいのシナプスが介在しているかあなたは考えたことがあるでしょうか? 仮に前にいる人の肩をぽんと叩いたとします。 その場合、彼が反応してふりかえるのに通常はワンクッションあることを、あなたも経験的にご存知だと思います。 このように、人の神経伝導はたしかに早いのですが、皮膚を介在して他人と接触をもつ場合、その反応速度はそれほどでもないわけです。 まして、秒速3語なんて状態になるとは思えません。考えられるのはただひとつ、母親が勝手に文章を思いつき、それを読み上げているだけというケースだけです。彼は詩なんか書いていないのです。 ● もうひとつ、流奈くんは寝ながらタイプしている事実、あくびをしながらタイプしている事実、これをどう説明されるのでしょうか。 貴社は、障害者では精神と肉体は乖離していることがある、というような説明をしていましたが、残念ながら医師の私としては臨床例に裏付けられた医学的事実、あるいはそれに類する学術論文で証明されない限り、このような肉体と精神の乖離は信じられませんので、そのように主張される根拠の提示を、後学のためにお願いします。 ● 番組の中で、彼の執筆作業が夜間に入り、乗りに乗ってきた場面の映像を紹介しています。しかし、彼はそこで寝てしまいます。そのことを母親も苦笑しながら確認していました。普通の人間は、執筆作業が乗ってくると睡眠を忘れるものだと思いますが、貴殿はいかがお考えですか? ● 貴殿の番組ではドーマン法の紹介がされています。Gren Domanなる人物は私は今回の騒ぎがあるまでもちろん知りませんでした。しかし、医学論文は現在簡単に検索できるシステムが存在するのです。medlineというものです。 そこで、Gren Domanで検索してみると、なんと、ヒットがひとつもないのです。私はシステムがおかしいと思いあわてて日本人の有名学者の名前を入れて検索してみると、読みきれないほど論文がでてきます。 この事実からGren Domanは、医学的な学術論文を一本も発表していない人物だということがわかります。 彼はMDでないというのはご存知ですよね、Ph.Dでもないですよね。彼は日本でいえば理学療法士みたいな方ですよね。そんな彼が学術論文も発表せずにドーマン法なる治療法を開発したといっても、民間療法の域を出ないですよね。 不治の病の場合、現代医学に頼らず民間療法に頼る人間というのは日本でもアメリカでも見られます。しかし、個人が民間療法を頼るのと、貴殿のようなマスコミが民間療法を紹介するというのは、まったく意味が違うと思います。そのことについて、あなたは責任を感じないのですか? 民間療法レベルの科学的根拠のないものを紹介したのはどうしてでしょうか? たとえば、これはある種の民間療法として信じられているものです、みたいな断りを入れることはできなかったのでしょうか? ● 番組ではCT写真が出てきました。見ると明らかに脳室が拡大し、皮質を圧迫していました。そして皮質は萎縮しておりました。普通、この画像を見ると我々医師には”痴呆”という言葉がうかびます。 CTレベルが詳細にでていなかったので言語野の障害はちょっと明らかではないのですが、明らかにwernicke野は障害されていると思います。broca野はわかりませんでした。 そんな彼が豊富な言語をあやつり、詩を発表している、これは奇跡ですか?詐欺ですか?私は詐欺だと思いますが、貴社の意見をお聞かせください。 ● 次に幼児虐待の可能性について述べさせていただきます。 ルナ君の手が赤くはれていたのはなぜですか? 番組を見る限り、無理なタイプ作業をさせたためだと思われますが、釈明をお願いします。 ● また、妹ソマが乱暴したから廊下に出して90秒ほっておくというシーンが印象的でしたが、彼女は1歳ですよね。一歳の子に聞き分けを求めるほうがどうかしていると思いますが、貴社はどのようにお考えでしょう? 一歳の子が聞き分けを持っていると思われるなら、その根拠の提示をお願いします。 ● 番組中には、本の締切りがあるから必死になってタイプしているという場面がでてきます(手を赤くして)。彼のような障害者に締切りなど、なぜ存在するのでしょうか?それは講談社との関係においてですか?放送日と出版日の関係を考慮したのですか?(そうとしか思えないのですが)。もしそうだとすると、貴社も虐待に関わっていると思われますが、いかがお考えでしょうか? ● 富山県高岡市だったかの講演シーンがでてきます。そこの画像では彼は耳栓をしているように見えます。補聴器かも、という意見も出ましたが、私にはとても補聴器には見えませんでした。あれは耳栓ですか、補聴器ですか? 我々が確認できたのは左の耳だけでしたが、画面に映らない右の耳には耳栓(補聴器)があるのですか? 仮にあれが耳栓だとしたら、彼にはまったく音が聞こえていないと思いますが、だとしたら、その状態でどうやってその場の人たちと「対話」するのですか? ● ジュースについて書かれた詩がでてきましたが、彼は厳密な食事療法をしているのではなかったのですか?彼はジュースは飲んでもいいのですか?ジュースを飲んだのは誰ですか?母親ではないのですか? ● 彼の最初の発語というエピソードとして、”わたす さかな”という例を紹介しています。しかし、私はこの語は幼児の最初の発語としてはまったくふさわしくないと考えます。なぜなら”わたす さかな”は2語文だからです。 普通、幼児が最初に発語するのは一語文です。おそらく貴社は言語学も小児科・発達もわからない方々なのでしょうね。 普通最初の発語は名詞です。”まま”、”ぱぱ”、”ぶーぶー”などです。 少し発達するとtelegraphic speechといわれる、名詞を重複した語になります。”ぱぱ ぶーぶー”、”まま おんも”などなどです。動詞を使うようになるのはけっこう後なのです。 この場合、”わたす”は動詞で”さかな”が名詞です。動詞+名詞のような文を発語できるのは2歳以上ですね。しかもその前段階として一語文の発声があるのが当然だと思います。動詞を最初に表現するというのは、どうしても私には信用できません。 この事例でも、彼は脳内にたくさんの言葉を蓄えていたから不自然でない、と貴殿はお考えですか? 私は不自然だと思います。これは母親が子育てをしておらず、子供の成長、発育をまったくわかっていなかったための創造だと考えます。もちろん貴殿が幼児の最初の発語が2語文であっても不自然でないということの証明をお持ちなら、それを提示願います。 ● FCのような方法を使って人と意思をかよわせている、と称する人は実際にいます。しかし、彼らは自己の欲求を他人に知らせるのにその多くを使います。たとえば背中が痛い、喉かわいた、おなかすいた、眠たい、などなどなどです。 貴殿の放送で、そのようにルナ君が自己の欲求を表すのに文字盤を使ったケースはありましたか?私たちの見た限りありませんでした。これは、非常に不自然なことと私は考えます。 Fcで血を吐くように、時間をかけ一文字表すのに30秒以上かかって、なんとかやりとりする人を私は見ています。筋疾患で全身の筋肉が動かず、指先だけでキーボードを叩く人も見ています。全身の筋肉が衰え、眼球の動きだけで、yes、noを表し、なんとか人と意思の疎通をはかる人を見ています。 そういう人たちを現実に見ている上で、流奈君を見ると、彼の秒速3語の文字盤会話は、まったくウソと言っていい、と私は感じます。あれは母親の演技です。 実際、あれをできるのは母親のみで、父、祖父母とはできないんでしょう?つまり、再現性がないのですね。まあ、彼らは立証もしようと思わないでしょうが。 足が痛い、とか、手が痛い、といったシーンを入れればよかったのにと思いますが、これは演出の失敗ですね。きれいな映像を追い求めるうちに本質を見失ってしまったのですね、貴殿は。 以上、いろいろ質問、および感想を述べさせたいただきました。よろしければ、これら質問に対して、誠意ある回答をお願いします。 また、この質問は便宜上私個人でさせていただいてますが、ここに至るまで、私が参加した札幌での「違法」上映会に共に参加してくれた、札幌の皆の協力がありましたことも、明記しておきます。 ですので、この質問は私個人のものですが、同時に、「札幌宣言」と受け取っていただいてもけっこうです。皆に迷惑がかからないよう、私個人の名前だけ出しますが、陰には多くの人間の共同作業がありました。その他、2ちゃんねるに集う匿名の無名さんたちには、多大なアドバイスを受けたことをここに記しておきます。先刻ご承知だとは思いますが、この問題について、連日ネット上で議論や情報交換が繰り広げられている、巨大匿名掲示板です。また文筆家の大月隆寛氏にこの文章の推敲を受けたことも報告しておきます。 もし、よければ、日木家にもこの手紙をご転送ください。我々も、流奈君の御多幸を祈っています。私の個人的意見では流奈とソマはあの夫婦から離し、それなりの施設で育てたほうがいいと考えていますが。 この質問、および意見などについて、何か不信なところがありましたら、どうぞ小児科医、言語学者、その他へ相談ください。私はほんとうのことしか書いていないつもりです。
実名晒夫(たらこ) | |
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